春の舎人公園を青く染めるネモフィラ。
毎年注目を集めるこの景色に、ライトアップという「夜の体験価値」が加わることで、舎人公園は単なる花の名所ではなく、人を呼び、滞在を生み、地域消費を動かすイベントとして非常に興味深い存在となっています。
イベントを楽しむ来園者の背後では、交通、飲食、物販、SNS発信、周辺回遊といったさまざまな経済活動が動いています。
では、舎人公園のネモフィラ×ライトアップは、足立区にどんなビジネス機会を生むのでしょうか。 コミュビズあだちは、ビジネス視点で「花と光のムーブメント 舎人公園ネモフィラと百花の花景色」をご紹介します。
花と光のムーブメントとは?
「花と光のムーブメント」は、東京都が推進する取り組みで、都立公園に大規模な花壇を整備し、四季を通じて“花と光”による新たな魅力を創出するものです。
2022年度にスタートしたこのプロジェクトは、2023年より舎人公園でも開催されるようになりました。もともと親しまれてきた約1,000本の「桜」に加え、新たに「ネモフィラ」花壇を創出。
現在は開花時期を少しずらすことで、春の観光シーズンを「点」ではなく「線」で長く確保する工夫がなされています。
無料で来園できる点も特徴で、公園は単なる憩いの場にとどまらず、人流を生み出す都市イベントとしての役割を担い始めています。
ビジネス視点その1:
昼間だけでなく、夕方から夜も集客できる
ネモフィラブルーとライトアップの組み合わせで、最大のポイントは夜間集客にあります。
昨年のデータによれば、来園者の約53%が都内、そして約35%が千葉県や埼玉県(参考値)から訪れています。この「約半数が都外・区外」という数字は、ライトアップという付加価値が、足立区を「通過点」ではなく「目的地」へと押し上げている証拠ではないだろうか。
ライトアップは、来園可能な時間帯を拡張し、新たな需要を生み出す仕組みとなっています。
(画像出典:日比谷花壇提供資料よりコミュビズあだち編集)
ビジネス視点その2:
「映える景色」が広告になる
ネモフィラの「青」は、視覚的に非常に強いインパクトを持ちます。さらにライトアップが加わることで、来場者自身が発信したくなる導線が設計されています。
ライトアップが加わることで、フォトジェニックな景観が生まれ、SNSでの拡散力が高まります。
園内には、ネモフィラ花壇を見渡せる「ネモフィラスカイステージ」や、光の変化を楽しめるフォトスポットなど、「撮りたくなる導線」が設計されています。
実際にメディアの反響も大きく、2025年度は地域メディア(赤羽マガジン、足立区民ニュース、号外NET等)だけで20件もの掲載を記録。
2026年度も既に「北千住経済新聞」や「竹の塚情報局たけトピ」などが反応し、インフルエンサーによる発信も相次いでいます。
つまりこのイベントは、広告費に頼らず認知を広げるUGC(ユーザー生成コンテンツ)型イベントとして、非常に高いコストパフォーマンスを発揮しています。
(画像出典:日比谷花壇提供資料よりコミュビズあだち編集)
ビジネス視点その3:
地域イメージの刷新につながる
このイベントの価値は、短期的な売上だけではありません。
むしろ重要なのは、地域の印象を刷新する力です。
舎人エリアは、「目的地として選ばれにくい」という側面もあります。
しかしネモフィラとライトアップの非日常的な景色は、その印象を変える可能性を持っています。人は単に「きれいだった場所」ではなく、「誰かに話したくなる場所」を記憶します。
- 春の足立区って意外といい
- 写真がすごく撮れた
- 気軽に行ける穴場だった
こうした体験の積み重ねが、再訪や紹介につながり、地域の価値をより一層高めます。
今回の取材では、30代男性が「西新井の大師前駅から30分歩いて来園し、気分転換になった」と語ってくれました。カップルや親子連れだけでなく、一人客が「散歩の目的地」として選ぶ場所としても確立してきたようです。
舎人公園のネモフィラは、単なる花壇ではなく、「足立区の視覚的資産」として育てていくことができる存在です。

ビジネス視点その4:
重要なのは「公園の外」での消費
イベントの成功は、会場内だけで完結するものではありません。
むしろ重要なのは、周辺地域への波及効果です。
来園者は、
- 飲食店に立ち寄る
- コンビニを利用する
- テイクアウトを購入する
- 駅周辺を回遊する
といった行動を取ります。
今回のインタビューで興味深かったのは、「行きは西新井大師から徒歩、帰りは舎人ライナー」という回遊パターンです。30分という街歩きの時間は、公園外の店舗との接点を増やす大きな可能性を秘めています。
また、園内キッチンカーの「ネモフィラソフト」のような、限定感と満足度を両立させた商品は、性別を問わず強力な購入動機となります。 ネモフィラソフトを食べたという男性は、「ソーダ味が新鮮でおいしかった。てんとう虫の形をしたチョコレートも美味しかった」と話してくれました。都外から訪れる約4割の層と、こうした「街歩き」や「限定グルメ」をいかに結びつけるか。
この滞在と消費の設計を公園の外へと広げていくことが、地域経済への影響を最大化させる鍵となるのではないでしょうか。
まとめ:
イベントを「資産」にできるかが鍵
舎人公園のネモフィラ×ライトアップは、春の景色を楽しむイベントであると同時に、地域に新たな人の流れを生み出す装置でもあります。 重要なのは、「イベントがあった」で終わらせないことです。
回遊、消費、発信、再訪──。
その循環をどれだけ地域に残せるか。
花を見に来た人が、道中の街並みを楽しみ、限定グルメを堪能し、街を好きになって帰る。
その設計こそが、これからの地域イベントに求められる視点ではないでしょうか。 コミュニティビジネスを展開するコミュビズあだちは、今後もビジネス視点から足立区の魅力を発信していきます。
開催概要
開催期間
2026年4月10日(金)~4月26日(日)
ライトアップ時間
18:00~20:00(金土日は20:30まで)
開催場所
舎人公園 B地区(噴水周辺・芝生広場)
入場料
無料
主催
東京都
協力
公益財団法人東京都公園協会
装飾
株式会社日比谷花壇
特設サイト
取材協力
株式会社日比谷花壇、PR TIMES
