親子で学ぶ創造的デジタル教育コミュニティ――足立区から広がる「ハニホヘトイロ」の挑戦

足立区でITやクリエイティブに関わる地域事業を応援する「コミュビズあだち」が今回ご紹介するのは、一般社団法人ハニホヘトイロが運営する、親子共学の非営利デジタル・プログラミング教室です。

ここでは、子どもだけに学ばせるのではなく、親子で一緒にパソコンに向かい、考え、つくり、試します。

そこにあるのは単なる“習い事”ではなく、家族が共通体験を通じて共に成長していく「学びの場」でした。

なぜ足立区で、非営利という形にこだわるのか。
そしてこの取り組みは、地域にどのような価値を生み出しているのか。

「ハニホヘトイロ」が描く未来と、足立区から広がるデジタル教育の可能性についてお話を伺いました。

ゲーム業界出身の代表がつくる「学び合うコミュニティ」

代表の更科さんは、2007年からゲーム業界の第一線で活躍してきたクリエイターです。

  • ガンホー・オンライン・エンターテイメント
  • DeNA
  • アソビズム

これらの企業で数々のヒットタイトルに携わり、関わったタイトルの累計ダウンロード数は3000万件以上。複数の特許も取得しているプロフェッショナルです。

その経験をもとに立ち上げたのが、デジタルを学び合うコミュニティ「ハニホヘトイロ」です。

「私たちが目指しているのは、いわゆる“教室”ではなく、デジタルを通じてお互いに学び合うコミュニティなんです」と更科さんは語ります。そのため、一般的な塾のような一律の授業は行いません。

参加者がそれぞれの興味に応じて、自由に制作や学習に取り組むスタイルを貫いています。

熱狂的なコレクターでもあり、膨大な作品に触れる中でその設計思想や遊びの本質を紐解いてきました。

親子で学ぶことが、子どもの可能性を広げる

ハニホヘトイロの最大の特徴は「親子共学」です。多くの教室が子どもだけを対象にする中、更科さんはその構造に疑問を感じていました。

「子どもが何かに興味を持っても、親がその内容を知らなければ相談相手になれません。

でも、親も一緒に学んでいれば『じゃあ一緒に調べてみようか』と同じ目線で言えるんです」

親が子どもの挑戦を理解し、応援できる環境をつくること。

それが子どもの可能性を広げる最大の鍵になるといいます。

既存の教育への違和感と「自立」への想い

現在、プログラミング教育が急速に広がる一方で、更科さんはビジネスとして乱立する塾の現状に違和感を抱いていました。

「高額な月謝を払って通う教室でも、実際にはテキスト通りにコードを打ち込むだけ、というケースが少なくありません。それでは本当の力にはならない」 更科さんの教育哲学は明快です。

「人から教えられたことは忘れてしまう。でも、自分で悩んで作ったものは絶対に身につく」

だからこそ、答えを教えるのではなく「考える力」を育むスタイルを模索し続けています。

燃え尽きた開発者が出会った「AI」という光

活動の背景には、更科さん自身の転機もありました。

10年以上、不眠不休でゲーム開発に携わる中で、一度は「燃え尽き」を経験。

業界を離れた時期もありましたが、そんな時に出会ったのがAIサービス「Claude(クロード)」でした。

「AIがコードを書くなんて半信半疑でしたが、試してみたら本当に形にしてくれた。これならまた何か作れるかもしれない」AIとの出会いが、再び「作る楽しさ」を思い出させてくれたのです。

この感動が、今のコミュニティ運営の原動力となっています。

Claude(クロード)とは

Claude(クロード)とは、Anthropic社が開発した大規模言語モデルを用いた生成的人工知能チャットボットである。2023年3月14日に一般公開され、以降複数のバージョンがリリースされている。
2024年3月に公開されたClaude 3 OpusはメンサIQテストIQスコア101を記録した[1]。「フレンドリーで熱心な同僚」をコンセプトの一つとしている[2]

引用:Wikipedia

個性が爆発する、子どもたちの創作現場

現在、教室には小学3年生から20歳の学生、そしてその親御さんたちが通っています。作るものは驚くほど多種多様です。

  • 車が好きな子は、こだわりのデジタルイラスト制作
  • 音楽に興味がある子は、ボーカロイド楽曲制作
  • ゲーム好きは、Scratchでのゲーム開発
Scratch(スクラッチ)は

Scratch(スクラッチ)は、アメリカ・マサチューセッツ工科大学のメディアラボが無償で公開しているビジュアルプログラミング言語。画面上のブロックをつなぎ合わせてプログラムを作る。日本語でも使用可能。主にマウスを使用するため、キーボード操作に不慣れな小学生でも利用することができる。

引用:文部科学省

じゃんけんゲームのようなシンプルなものでも、ルールをプログラムに落とし込むには深い思考力が必要です。

こうした「自らの創造」を通じて、子どもたちは自然と問題解決力を身につけていきます。

安心を守るため、チャットツールまで自作

子どもたちが安心して交流できるよう、独自のチャットツールも開発しました。13歳未満が安全に使える既存ツールがなかったため、更科さんはAIを活用し、わずか2週間で自社システムを構築。

  • DM(個人メッセージ)機能の排除(トラブル防止)
  • 親子のセット参加(親が自然に見守れる)
  • 親への通知機能(子どもの活動をリアルタイムで共有)

デジタルのプロだからこそできる徹底した安全設計で、親子が安心して新しい世界に触れられる環境を整えています。

足立区という地域の強みと未来

現在の活動拠点は、足立区の公共施設です。「足立区NPO活動支援センター」をはじめ、区内各地の地域学習施設の手厚い支援が、活動を広げる大きな支えになっています。

今後のビジョンについて、更科さんはこう語ります。「まずは足立区内の各地域に拠点を増やしたい。

竹の塚、西新井、北千住……地域ごとに小さなコミュニティが広がっていくのが理想です」自分も教室をやってみたいという仲間を募り、足立区で生まれたこのモデルを東京、そして関東へと広げていく未来を描いています。

利用者のエピソード

20歳の挑戦を支える「師弟」の絆

教室には、ゲームプランナーを目指す20歳の女性の姿があります。デッサン教室で更科さんと出会い、その誘いでクリエイターへの道を歩み始めた彼女。

更科さんが企画書に赤字を入れ、自作ゲームにフィードバックを送る師弟のような時間は、すでに10ヶ月を超えました。

就職活動の真っ只中にある彼女の挑戦を、更科さんは「うちの教室のおかげで受かったと言わせたい」と、親のような温かな眼差しで見守り続けています。

親たちの心を潤す「安心して過ごせる2時間」

ここは、多忙な保護者にとっても大切な「心の聖域」です。ある小学1年生のお母さんは、日々の学校生活での苦労から謝りながら過ごす毎日でしたが、ここで「Scratch」の面白さに目覚めました。

特定のゲームを作るためではなく、「仕組み」そのものに没頭し、子どもと同じ空間で試行錯誤を繰り返す。

自分自身の創造性に集中できるこの「安心して過ごせる2時間」が、親たちの支えになっていることも、活動の大きな意義となっています。

取材を終えて:コミュビズあだちの視点

ハニホヘトイロは、単なるプログラミング教室ではありませんでした。 そこにあるのは、デジタルをツールに世代を超えて学び合う「創作のサードプレイス」です。野球やサッカーのように、親子が一丸となって子どもの成長を応援し、共に熱狂できる場所。

「自ら作ることで身につける」

という更科さんのスタイルは、現代の教育に一石を投じるものです。足立区から始まったこの小さな挑戦が、地域のデジタル教育の新しいスタンダードになっていく。そんな予感を感じさせる取材となりました。

自らの「創造」を世界へ。クラウドファンディングの挑戦

ハニホヘトイロはいま、大きな壁に挑んでいます。小学4年生のクリエイターを中心に、世界中で遊ばれる『Roblox』でのゲーム開発プロジェクトが進行中ですが、現場のPCスペックが限界を迎えています。

「子どもたちの『やってみたい』を、マシンの性能で止めたくない」

その想いから、更科さんは開発用ノートPCの購入を目指し、クラウドファンディングを立ち上げました。これは単なる備品支援ではなく、デジタルを「世界とつながる道具」として使いこなす経験を足立区の子どもたちに届けるための投資です。創造が成長を生む未来へ、地域からの温かい支援が求められています。

更科さんからの
メッセージ

現在挑戦中のクラウドファンディングですが、皆様の温かいご支援により、当初の目標を大きく上回る金額が集まりました!
今はありがたいことに、小学生にはリッチすぎるほどのハイスペックマシン『MacBook Neo』が購入できるまでになりました。
ご協力本当にありがとうございました。
3月31日の最終日まで、引き続き寄付を募集しています。
クラファン終了後も引き続き以下のページにて寄付をお願いしてます。
より多くの子どもたちに「限界のない創作環境」を届けるため、さらなるご支援をどうぞよろしくお願いいたします!
寄付はこちら

Roblox(ロブロックス)は

Roblox(ロブロックス)は、ユーザーがゲームを作成、共有し、他のユーザーが作成したゲームをプレイできるオンラインゲーミングプラットフォームおよびゲーム作成システム。2004年デイビット・バシュッキとErik Cassel(エリック・カッセル)が開発し、2006年にリリースされた。このプラットフォームは、プログラミング言語のLuaでコード化された様々なジャンルのユーザー作成ゲームを管理できる。

引用:Wikipedia

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会社の概要

団体概要

団体・会社名

一般社団法人ハニホヘトイロ

活動エリア

西新井

代表者名

更科尚人

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